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平成狸合戦ぽんぽこ】登場人物&声優情報一覧とキャラクター考察

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「平成狸合戦ぽんぽこ」は1994年に公開された高畑勲監督による劇場用アニメーション作品である。

今回は「平成狸合戦ぽんぽこ」の登場人物と声優を振り返りながら、それぞれの魅力や物語について考えていこうと思う。「平成狸合戦ぽんぽこ」の登場人物はどんな人々だったのだろうか?

以下の文章では不意にネタバレが挟まれますので、その点はご注意ください。


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平成狸合戦ぽんぽこ」の主要な登場人物&声優一覧

名前 年齢 声優

語り

古今亭志ん朝

正吉

野々村真

おキヨ

石田ゆり子

鶴亀和尚

105歳 5代目柳家小さん

おろく婆

清川虹子

権太

泉谷しげる

青左衛門

三木のり平

ぽん吉

林家こぶ平(現・林家正蔵)

文太

村田雄浩

玉三郎

神谷明

六代目金長

桂米朝

太三朗禿狸

999歳 5代目桂文枝

隠神刑部

603歳 芦屋雁之助

竜太郎

福澤朗

登場人物&声優一覧とキャラクター考察

語り|声優:古今亭志ん朝

「平成狸合戦ぽんぽこ」全体のナレーション。古今亭志ん朝師匠の魅力的な声によって本作品の根本的な「雰囲気」が作られている。

人間に戦いを挑み、結局破れてしまうというしんどい物語は、狸たちの「間抜けさ」「人の良さ」によってギリギリ見ていられるラインに保たれているが、志ん朝師匠の声もそのしんどい状況を優しく包み込んでくれていたように思う。

また、志ん朝師匠の声が野々村真さんの声に連続的に変化する演出によって、実は物語を語っていたのが正吉であることがわかるようになっている。

正吉|声優:野々村真

正吉の基本情報

物語の主人公。出身は多摩の影森。

物語の序盤から極めて理性的であり、対人間戦を行う上でも父の教えであった「人間研究」を誰よりも重要視していたのだが、あまりのもその態度が一貫しすぎており、清左衛門からは「人間みたいなやつ」と言われる始末であった。

正吉の正反対の立ち位置にいたのが権太であったが、この二人が唯一共有していたのは「何かをしなければならない」という自覚であったように思われる。

そして、この物語の最も重要な構造は、理性的に見える正吉よりも強硬派の権太の方が合理的に見えるという点である。あの物語を見ているとどうしても正吉に感情移入しづらい。

この辺が「平成狸合戦ぽんぽこ」の面倒な側面なのだが、映画を見ている我々の「客観」と狸たちの「主観」の間にある絶妙な齟齬(そご)が本質的な役割を演じている。

その齟齬とはもちろん「我々は狸が負けることがわかっているが、狸たちは我々に負けることがわかっていない」という齟齬である。

絶対に勝てない戦いを挑んでいることがわかっているので、権太の態度が正しく見えてしまうのだが、結局「平成狸合戦ぽんぽこ」における正吉の役割は、そういうある種合理的な態度と他の狸たちの考える「理想的(夢想的)勝利」との間に立って、それを客観的に評価することとなっている。

そんな正吉もおキヨという存在を前についつい「双子の星作戦」を決行してしまうところに「狸らしさ」があり、ほぼ唯一と言っていい可愛げになっている。あるいは「妖怪大作戦」に一縷の望みをかけたことも可愛げだったかもしれない。

このような「可愛げ」という視点で物語を見返すと、権太の強硬姿勢にこちらが感情移入できていしまう理由は、その強硬姿勢が権太の本音であるということに起因すると思われる。つまり、正吉の「本音」がどこにあるのか分からい。

しかし物語のラスト、全てがひっくり返る構造になっている。つまり、ず~っと物語のナレーションをしていたのは正吉であったことがわかる。正吉は我々にその本心と思いを語り続けていたのである

つまり、やたらと客観的な立場をとりその内面が見えない正吉の姿に私達はばかされていたのである。

高畑勲一流のマジックだったと言えるのではないだろうか。

声優の野々村真さん

声を担当したのはタレントの野々村真さん。私としては「世界ふしぎ発見!」のイメージが強いが、もう少し上の世代だと「笑っていいとも!」のいいろも青年隊出会ったことを知っている人も多い。

「世界ふしぎ発見!」では長年に私道化役を演じてきたが、「平成狸合戦ぽんぽこ」では明確な知性派である正吉を演じていた。

ただ、正吉は「知性派」であはあるものの、どこか人の気持ちがわからない存在として描かれており、そのような雰囲気は見事に表現されていたと思う。そして、それがキャスティングの狙いだったと私は思う。

似たようなキャスティングとしては「風立ちぬ」の主人公堀越二郎がいるだろう。

声優は映画監督の庵野秀明さんが担当したが、庵野さんのもつ「掴みどころがなく、何を考えているかわからない」感じが堀越二郎によくあっていた。

野々村真さんの純朴な声や演技が、正吉にそういうキャラクター性を与えていたと思う。

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おキヨ|声優:石田ゆり子

おキヨの基本情報

出身は耳切り山。登場シーンが多かったとは言えないが、正吉とともに「双子の星作戦」を決行。一定の成果を上げた。

正吉は自らが立てたその作戦に不安と疑問を持っていたが、おキヨの「素敵な思いつきだったのに」という一言で作戦の実行を決めた。

権太らの強硬派の基本姿勢は「死を持って人間に自覚させる」というものだったが、正吉の作戦は「奇跡を見せることによって人間に自覚させる」というものになっていた。おそらく人の死が介在しないところが「素敵」だったのだと思う。

「妖怪大作戦」は多摩の狸全員がその作戦に参加したが、「平成狸合戦ぽんぽこ」の中で個別作戦に参加したことが明確に描かれている唯一の雌狸であるという特徴も持っている。

そして「妖怪大作戦」を含め、雌狸が参加した作戦はすべて人間が死んでいない。この点も「平成狸合戦ぽんぽこ」が持っている皮肉、あるいは批判精神の現れなのだろう。

声優の石田ゆり子さん

声を担当したのは俳優の石田ゆり子さん。ジブリ作品では「もののけ姫」のサンとカヤ、「コクリコ坂から」の北斗美樹(コクリコ荘に下宿している女医)を担当している。

おキヨさんは主人公正吉のパートナーであるとともに「双子の星作戦」を遂行した英雄でもあるのだが、残念ながら「平成狸合戦ぽんぽこ」においてはそれほど目立つ存在にはなっていない。

しかし、石田さんが続いてジブリ作品で声優を努めた「もののけ姫」ではバッキバキの主人公格(というかほとんど主人公)のサン役で、大変に苦労なさったことが本人によって語られている:

現場が変われば状況は変わるものである。

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鶴亀和尚|声優:5代目柳家小さん

鶴亀和尚の基本情報

狸たちの居城となった「万福寺」をねぐらとする和尚。年齢は105歳。

和尚は狸であるにも関わらず袈裟をかけ、他の狸から「和尚」と呼ばれている。人間ではない彼が「和尚」と呼ばれていることに少々の違和感が有るのだが、それは物語の中盤以降、四国の長老たちの状況が描かれたことによってわかる構造になっている。

つまり、鶴亀和尚は人間として万福寺の和尚を長年勤めていたのである。

四国の長老、特に、六代目金長は当たり前のように神社の神主として神社にいたが、それと同じことを鶴亀和尚もかつてしてたのである。

逆に言うと、鶴亀和尚が享受していた日々は、六代目金長が享受している日々だったということにもなる。かつて多くの人々が万福寺に訪れ、鶴亀和尚の法話を聞いていたのである。

もしかしたら、誰もいなくなった寺で和尚として人をばかそうとしたのに、結果としてず~っと和尚として仕事し続けてしまったのかもしれない

ここで響いてくるのは物語の序盤、鶴亀和尚の放った以下の言葉だろう:

おらたちタヌキはヒトがいい。調子に乘る。サービスしすぎる。これが失敗の元じゃ。

つまり、和尚はサービスしすぎて失敗したのである。鶴亀和尚にとっての「失敗」とはなんだろう。

それはきっと、万福寺の和尚として人間をばかそうと思っていたのに、本当の和尚として生きてしまったということではないだろうか?

そんな失敗を後輩の狸たちに教えつつ、それでもなお何か「理想的な結末」を模索したのが鶴亀和尚なのだと思う。

そしてそのような鶴亀和尚を思う時、別の作品に登場した存在に思いを馳せてしまう。「もののけ姫」のモロの君である。

干からびた鶴亀和尚を見て、あの怪しげなモロの君に思いを馳せるのはおかしなことと思うだろうが、私の中ではきちんと整合性が取れている。その点に関して私が考えたことを以下の記事にまとめた:

さて、鶴亀和尚とモロの君にはどんな共通点があるだろうか。

声優の5代目柳家小さん

声を担当したのは噺家の5代目柳家小さん(1915-2002)。他にアニメーションの声優を担当はしていないようなだ、本編を見たすべての人が思ったように「この人しかいない!」と私も思った。

誠にキャスティングの妙技である。

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おろく婆|声優:清川虹子

おろく婆の基本情報

通称「火の玉のおろく」。この通称がおろく婆の性質を表すものなのか、火の玉に化けるのがと言いだったためについたのかは分からないが、狸同士の争いを続けていた連中に「人間」を意識させることで「平成狸合戦ぽんぽこ」を本質的に推進した存在となっている。

少々厳しい面も有るようだが、基本的には面倒見がよく、若い狸のことも気にかけていた。

さて、そんなおろく婆だが、本編中ひとつ妙なことを口走っている。化け学の基本を習得した権太たちが最初の作戦を結構しようとしていたさい、「秘術」を授けている。

おろく婆の説明によると、「作戦に失敗しても五日間は狸の死体には見えず、狐にみえる」というものだった。

ここで思い出すべきなのは物語のラスト、権太たちが化けた「釣瓶落とし(つるべおとし)」がトラックに引かれると、変化が解けて狸の姿に戻ってしまっている。

やはり変化術は死ぬと解けるのである。

となると、死んでもなお解けない術とはまさに「秘術」でありただでさえ常軌を逸した変化術の中でも相当に常軌を逸しているということになる。

しかし、私個人としてはこの「秘術」はそれこそ秘密があると考えており、狡猾に隠蔽された「下ネタ」であると考えている。その辺のことは以下の記事にまとめている:

皆さんはおろく婆の授けた秘術とはどんなものだったと思うだろうか。

声優の清川虹子さん

声を担当したのは喜劇女優の清川虹子さん(1912-2002)。

私個人としてはバラエティー番組に出演している姿しか記憶がないのだが「ジブリの教科書8 平成狸合戦ぽんぽ」を読むと、肝硬変の手術を終えたばかりの清川さんに

「車椅子でもいいからどうしても出てほしい」

という依頼があり、清川さんもその依頼を受けたそうである。そんな清川さんは、

ああ、こんなになってもまだ私を必要としてくれる監督が、作品があるならがんばらなくちゃ

と仕事受け、結局9日で退院したそうな。

誰かに求められる喜びは、歳を重ねるほどに大きなものになるのかもしれない。

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権太|声優:泉谷しげる

権太の基本情報

出身は鷹ヶ森。本編中ず~っと人間に対して強硬な姿勢を取っていた。そんな権太も「ハンバーグ」「ドーナッツ」「フライドチキン」といった人間が生み出す魅惑の食べ物の魅力に勝つことができず「人間も少しは残しておく」という判断をしてしまう。彼もやはりのんきな狸であった。

また、「平成狸合戦ぽんぽこ」の重要な特徴は、我々人間を駆逐しようとする強硬派の権太の行動が最も合理的にみえるという点である。

その理由はこの作品がもつある種のドキュメンタリー性にある。つまり、この作品は元々「かくして狸が勝ったのでございます。」とか「このように人間と狸は手と手を取り合って生きることを決めたのです。」といったスイートな物語ではなく「かくして狸は負けたのでございます」という深刻な物語であるということに起因する。

我々は狸がどんなことをしても負けることをわかりながらず~っと彼らが負ける道のりを見ていることになっており、そのため我々人間を殺して減らすという方法論を取っている権太が最も合理的に見えてしまう。どうせ何をやっても負けるのだからね。

結局「平成狸合戦ぽんぽこ」とは「敗北の物語」なのだろう。我々は勝負に負けたとき、ついつい「こうしたから負けた」とか「こうすれば勝てた」といったタラレバ思考に陥るのだが、実のところどうあがいても負ける状況があるから負けたがほとんどの場合の答えである。その辺のことを以下の記事にまとめている:

この物語が「狸」で描かれていなかったら、本当にしんどい映画になったことだろう。

声優の泉谷しげるさん

声を担当したのはミュージシャン・俳優の泉谷しげるさん。フォークシンガーとしてデビューしているが、俳優として認識している人も多いだろう。私自身も子供の頃放送されていた「さくらももこランド・谷口六三商店」での六三役で初めて認識したと思う。

泉谷さんといえば少々荒々しいイメージがあるが、権太のキャラクター性と合致しておりまさにはまり役であった。

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青左衛門|声優:三木のり平

青左衛門の基本情報

鈴ヶ森の長老で、物語のスタート次「青軍」と「赤軍」で分かれて戦っていた際の「青軍」の総大将。

「赤軍」の総大将だった権太とは売って変わり、物語中特に強硬な姿勢を見せるわけではなく、他の狸同様、慎重(日和見)な態度を取っていた。

物語のラスト、人間に化けて生きることを決めた一団の中に青左衛門もいたのだが、不動産業で成功して平然と都市開発していたのが彼である。

声優の三木のり平さん

声を担当したのは俳優の三木のり平さん(1924-1999)。桃屋「ごはんですよ!」のCMアニメーションのキャラクターのモデルであり声を担当していたことを記憶に残している人も多いと思う。

青仁左衛門役はなんともはまり役だったと個人的には思うのだが、ハマりすぎたのか自分で調べるまで三木のり平だとは気が付かなかった。俺だけかな。

ぽん吉|声優:林家こぶ平

ぽん吉の基本情報

正吉の幼馴染。勤勉に「化け学」の習得に励んだ正吉とは正反対に、ただただ狸らしく生きようとしていた。

彼は結局変化できない並の狸として生きたのだが、禿狸が立ち上げた「踊り念仏」に入信するほどの勤勉さも持ち合わせていなかったようで、彼らとともに宝船に乗って集団自殺することもなかった。

そんな彼は物語の最後正吉との再会を果たすが、周りの状況がどのように変貌しようとも自分らしく生きた彼の姿こそが「どっこいいきる」ということだったのかもしれない

その辺のことを「紅の豚」を絡めながらもう少し詳しく以下の記事にまとめている:

「平成狸合戦ぽんぽこ」におけるぽん吉とはどのような存在だったのだろうか?

声優の林家こぶ平さん

声を担当したのは噺家の林家こぶ平(現・林家正蔵)さん。アニメーションの声優としては、「タッチ」の松平幸太郎、「こち亀」の寺井洋一(2代目)などを担当している。

今でこそ大御所の噺家さんではあるが、映画公開当時は31歳。ある種の「いじられ役」としてテレビ番組に登場していた記憶があり、ぽん吉はそのイメージそのままであった。実際本人も、

「アニメのアフレコは何回もやってますけど、ぽん吉は地のまま、作らずにやれる役ですね。」

と語っている(参考:「ジブリの教科書8 平成狸合戦ぽんぽ」)。

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文太|声優:村田雄浩

文太の基本情報

育ちは水呑み沢。物語のだいぶ早い段階で団三郎狸を招聘するために佐渡に旅立つ。

彼は多摩の狸たちの「妖怪大作戦」に対する熱狂も、その失敗への絶望も、その後の混迷も、何一つ知ることなく賢明に団三郎狸を探していた。一ミリも使えなかった四国の長老の姿を思うと、ぜひとも団三郎先生に会いたかったものだが、戦後すぐに亡くなっていたことが判明してしまう。

その事実を胸に多摩に戻った文太が見た風景は、作品中ず~っと描かれてきた開発の結果で有るのにもかかわらず、我々自身もはっとしてしまう

仲間と離れた場所で賢明にその使命を果たそうとしていた文太の最後の仕事が我々映画を見ている側の人間を現実に戻すことだったのだと思う。

声優の村田雄浩さん

声を担当したのは俳優の村田雄浩さん。子供の頃から多くの作品で見てた俳優さんだが、個人的に思い出に残っているのは「釣りバカ日誌11」の宇佐美役である。村田さんのもつ純朴さが見事にハマった役だったと思うが、「平成狸合戦ぽんぽこ」における文太はそのひたむきさが見事に出た役だったと思う。村田さんなら、あの過酷な使命を全してくれるはずだ。

玉三郎|声優:神谷明

玉三郎の基本情報

鬼ヶ森に住む狸。雌狸からの人気の高いいわゆる優男。熾烈なじゃんけん合戦を制し、四国に長老の招聘に向かった。

文太が家族も作らずに団三郎狸を賢明に探す中、命からがらたどり着いた四国の金長大明神の愛娘小春と恋仲となり、子狸を三匹ももうけていいた。

それでもなお命をかけて招聘した四国に三長老が持ってきた秘策は「妖怪大作戦」という箸にも棒にも掛からないものであったが、四国でその他の長老たちの姿を見ていた玉三郎は何の不安もなかったのだろうか?こんなのんきな連中が役に立つのかと。

ただ、そういう発想に至らないところも狸のいいところなのかもしれない。

多摩が誇る優男も、やはり狸であった。

声優の神谷明さん

声を担当したのは声優の神谷明さん。ここで何かを語る必要のない神谷明さん。それでも念の為言っておくと、「ゲッターロボ」の流竜馬、「勇者ライディーン」のひびき洸、「北斗の拳」のケンシロウ、「シティーハンター」の冴羽?、・・・・と「主人公の声」を演じ続けてきた人である。

もちろん神谷さんは主人公以外にも多くの役を演じているのだが「主人公のようにシュッとしいて、主人公のようなドラマチックな人生を送っているのに、結果として主人公ではない玉三郎」を演じる声優さんとしては唯一無二の存在となっている。

つまり、玉三郎の声を神谷明さんが演じているという状況そのものがちょっとだけくすっと出来るものになっている(神谷明の無駄遣いというユーモア)。

こういうところも、「平成狸合戦ぽんぽこ」の面白さかもしれない。

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六代目金長|声優:桂米朝

六代目金長の基本情報

徳島県は金長大明神の神主。狸でありながら人の姿に化けながら神職についている。つまり、少なくとも六代目金長は多摩の狸たちが最後にした「人間として生きていく」という生活を実質的におくっていた。

そのくせ狐から「人間として生きる」という提案を受けたときには大変に驚いていた。

これはどういうことだろう?

おそらく、六代目金長(と他の四国の長老も)人間として生きている自覚など全く無く、現代に至るまでず~っと人間をばかし続けていると認識していたということだろう。

一方竜太郎が提案した「人間として生きる」ということは、「神主」のように少々偉ぶっていられる立場として生きるということではなく、毎朝通勤電車に揺られるようなサラリーマンとして生きるということを想定していただろうから少々状況は違うのだが、実質的には同じことである。

この辺の無自覚さと無頓着なところが、六代目金長の狸なところだったのだろう。

声優の桂米朝さん

声を担当したのは噺家の桂米朝さん。アニメーションの声優は六代目金長が唯一のようである。

太三朗禿狸|声優:5代目桂文枝

太三朗禿狸の基本情報

本名は浄願寺太三郎。若き日に「那須与一」を見たとされる禿狸。本編中に九百九十九歳の誕生日を迎えた。

玉三郎が命がけで招聘した三長老の一人で、彼もまた「妖怪大作戦」の成功を心から信じていた。

ただ、老齢であったためか、あるいは最後の奉公と思ったのか、彼は若かりし日に見たであろう「踊り念仏」の教祖に落ち着き、最も力のない変化できない狸たちの心の拠り所となった。

願わくはその老獪な発想をもってその狸たちを導いてほしかったが、彼らが選択したことは集団自決であった(宝船での死出の旅)。

ある意味、「平成狸合戦ぽんぽこ」に登場したどんな狸よりも悲観的な存在が太三郎狸だったのかもしれない。そして彼にはもう「どっこいいきる」力が残されていなかったのだろう。

声優の5代目桂文枝さん

声を担当したのは噺家の5代目桂文枝さん。アニメーションの声優としては太三朗禿狸が唯一のようである。

隠神刑部|声優:芦屋雁之助

隠神刑部の基本情報

松山八百八狸の総帥。齢六百三歳。

玉三郎が招聘した四国の三長老の一人であったが、他の二人に比べて明らかな強面であった。

彼に関して忘れてならないのは六代目金長の弔文の中にあった「刑部は、かつて松山藩のお家騒動にまきこまれ、悪玉に味方して一族の没落を招いたことを悔やまれた末・・・」という文章だろう。

彼が巻き込まれたお家騒動とは「松山騒動八百八狸物語」で語られるお家騒動である。

そもそも「刑部」とは松山城の城主から頂いた「名」であり、城の家臣たちから信仰の対象となっていたのだが、そのお家騒動が発生した折に謀反を起こした側に味方してしまったことを悔やんでいるのである。

つまり、彼が悔やんでいるのは人との関わりに起因する無念だったのである。

だからこそ、今度はただただ狸のためだけにと多摩に来たのだと思うのだが、結果は惨憺たるものだった。

ある意味で、その結末を見ることなく命を落としたことも幸福なことだったと言えるかもしれない。彼は「今度こそは!」と思っていたのだろうから。

声優の芦屋雁之助さん

声を担当したのは俳優の芦屋雁之助さん。「裸の大将」シリーズの山下清役で覚えている人も多いだろう。個人的には小林桂樹さんが演じた山下清役のイメージが大きすぎて、芦屋雁之助さんの山下清に壮絶な違和感があったことをおぼえいている。

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竜太郎|声優:福澤朗

竜太郎の基本情報

多摩堀之内の変化狐。「妖怪大作戦」が失敗した直後、六代目金長の前に現れ、狸に対して「人間としてい生きる」という選択肢を与えた存在。

「平成狸合戦ぽんぽこ」という物語において極めて本質的な仕事をした存在であるが、最も重要なことは彼がその申し出を六代目金長にしたという事実だろう。

おそらく竜太郎にはわかっていたのである、六代目金長はすでに自分たちと同じ生活をしておりそれに気がついていていないだけであることを。

ただ一番の問題は、なぜ彼は同族でもない狸に「人間として生きる」という選択肢を与えたとうことだろう。

このことについて考え始めるとありとあらゆる悲劇が想起されるのでしんどいのだが、最も必然性の高い想像としては、多摩の狐も「妖怪大作戦」をやったということである。

狸たちの「妖怪大作戦」に我々が気が付かなかったように、狐たちの「妖怪大作戦」に我々は気が付かなかったし、実のとこと狸も気が付かなかったのかもしれない。あまりにも別の存在だったから。

そんな竜太郎が狸に対して「人間として生きる」という提案をした時の心情とはいかなるものだっただろうか?

一つは、「同族」ではないが「同類」として一つのアドバイスを与えたという事かもしれないが、「人間として生きる」ことの困難を考えると、「俺たちの戦いに参戦しなかった報いを受けろ!」ということだったかもしれない。

そして物語のラスト、絶対に「妖怪大作戦」をできたかったものたちの代表としてぽん吉が一言語ったのである。

やっぱし、狐たちも「妖怪大作戦」をしたようにしか思えない。

皆さんはどう思うだろうか?

声優の福澤朗さん

声を担当したのはアナウンサーの福澤朗さん。

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その他の登場人物

平成狸合戦ぽんぽこ」英語吹き替えの声優一覧

キャラクター名 声優
語り モーリス・ラマーシュ
正吉 ジョナサン・テイラー・トーマス
おキヨ トレス・マクニール
鶴亀和尚 アンドレ・ストウカ
おろく婆 トレス・マクニール
権太 クランシー・ブラウン
青左衛門 J・K・シモンズ
ぽん吉 デヴィッド・オリヴァー・コーエン
文太 ケビン・マイケル・リチャードソン
玉三郎 ウォレス・カース
佐助 林原めぐみ
六代目金長
太三朗禿狸 ジェス・ハーネル
隠神刑部 ジェス・ハーネル
竜太郎 ジョン・ディマジオ
お玉 ルシー・テイラー
小春 オリヴィア・ダボ
キャスター マーク・モーズリー

ジブリ作品で一番好きなのは?
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シフルはどうなんだい?
「ジブリ作品」と聞かれたら「平成狸合戦ぽんぽこ」と答えることにしている。

この記事で使用した画像は「スタジオジブリ作品静止画」の画像です。


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北国出身横浜在住の30代独り身。日頃は教育関連の仕事をしていますが、暇な時間を使って好きな映画やアニメーションについての記事を書いています。利用したサービスや家電についても少し書いていますが・・・もう崖っぷちです。孤独で死にそうです。でもまだ生きてます。だからもう少しだけ生きてみます。
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