「天気の子」は2019年に公開された新海誠監督による劇場用アニメーション作品である。前作「君の名は。」の記録的大ヒットを受けて、多くの期待のもとに公開された作品であった。「君の名は。」には届かなかったものの、興行収入は141億円と間違いのない大ヒットとなった(2作連続で興行収入が100億を超えたのは、宮崎駿監督に続いて2人目だった)。
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私自身もすでに「新海誠作品ファン」になっていたので、公開初日に見に行ったことを憶えている。なにやらラストのあり方に賛否両論な本作品だが、一体どんな話だったのだろうか?
今回はそんな「天気の子」のあらすじと作品中にある3つの謎について書こうと思う。ただ、あらすじと言っても全部話してしまうので、ネタバレが嫌な人は途中まで読んで本編を見てください。
「天気の子」のあらすじ(ネタバレあり)
簡単なポイントまとめ
「天気の子」のあらすじのポイントを短くまとめると以下のようになるだろう:
- 主人公は高校1年生の少年 森嶋帆高(もりしまほだか)。 地元の神津島(伊豆諸島の島)から「家出」をするところから物語は始まる。
- ほぼ無一文で島をでた帆高は、東京に向かうフェリーで出会った須賀の会社「K&Aプランニング」で働くことになり、雑誌「ムー」などに寄稿する記事を作成するようになる。
- そんな折、一人の女の子がガラの悪い男どもに絡まれているのを発見。その子は東京に来てすぐ、空腹の中でコーヒーだけを連日注文する帆高にバーガーを奢ってくれた人物だった。
- 帆高はその子の手を引き逃げ出そうとするが、追いつかれて捕まってしまう。そこで帆高は、ゴミ箱の中から発見していた拳銃を発砲しなんとか逃げ切る。
- 助けた女の子の名前は天野陽菜(あまのひな)。次の誕生日で18歳になると帆高に伝えたが、実際には14歳だった(つまり帆高よりも年下)。
- 陽菜はその祈りによって雨模様を晴れに変える超常の力を持っていた。帆高と陽菜はこの力を利用して、人々に晴れの日を提供する「晴れ女業」を開始。弟 天野凪(あまのなぎ)と共に順調に仕事を進める。
- 多くの人に感謝されることに喜びを感じてはいたが、陽菜の体に異変が生じる。彼女の体の一部が水のように透明になり、不意に体が浮遊するという現象が発生。陽菜はその力を使う度に、その存在が空に近づいていた。
- 「晴れ女」としての仕事を中断する帆高と陽菜のもとに警察が現れ、行方不明の帆高を探していること、親のいない生活を送る陽菜と凪を問題視しており翌日児童相談所の人間と再訪することを告げられる。
- これまで懸命に維持してきた生活が奪われることを恐れた陽菜と凪は警察や児童相談所の人間から逃げ出すことを決断。帆高もそれに協力することを決める。
- その夜は東京に記録的な雨が降っており、交通機関が麻痺。帆高達はやむなく宿に泊まることを決めるが、子どもたちだけの帆高達を止めてくれるところはなく、最終的にはラブホテルに行き着いた。
- 翌日目が覚めると陽菜の姿はなく、部屋に訪れた警察に確保されてしまう。前日の大雨が嘘のように、その日の東京は快晴であった。
- 前日の大雨が自分たちのしてきたことの揺り戻しであること、陽菜が空に取り込まれてしまったこと、を直感する帆高は陽菜の救出を画策する。
- 警察から逃げ出した帆高は、陽菜が初めてその力に目覚めた小さな社に向かい祈りを捧げる。不意に雲の上の世界にたどり着いた帆高は陽菜を発見。救出を試みる。
- 「陽菜を助ければ異常気象が戻ってしまう」という葛藤を振り切り、帆高は陽菜の救出に成功。その瞬間東京は再びの大雨に見舞われる。帆高は再び警察に補導され地元に戻ることとなった。
- 3年後。帆高は再び東京に向かう。あれから1度も止むことなかった雨によって東京は水没していた。
- そんな東京で、帆高は陽菜との再会を果たす。
物語に通底しているのは「自分だけの力で生きることを認めてくれ!」という若者らしい欲求と、「どうしても子どもたちを放っておけない大人」という存在の対立である。
成長するに連れて「自分だけ」ということにこだわる必要がないし、むしろそんな縛りをすることは害悪であることに気がつくのだが、人生のなかで「抑制的であること」が最も要求される時代には、その反動として「自分だけ」という思いが爆発することはあってしかるべきである。
物語のラストで、自分たちのしでかした事によって水没する東京を目にしながらも「僕たちは大丈夫だ!」と帆高と陽菜に言わせたということは、そんな若々しい欲求をフィクションの中でくらい全力で抱きしめてあげようという新海誠監督の心意気といったところなのだろう。
ここからはもう少し詳しく「天気の子」のあらすじを見て行くことにする。
ボーイミーツガール
物語の主人公は高校一年生の杜崎帆高(もりさきほだか)。彼は故郷を飛び出し東京へ向かいフェリーに乗っていた。ここではないどこかへ行こうとする少年の顔はなにやら傷ついてもいた。
不意に空模様が怪しくなる、人々がフェリー内に移動する中、帆高はその雨目当てにフェリーの屋外にでる。激しい雨に打たれるほどかはなにやら開放感に包まれていたが、不意に雨とは似ても似つかない「大水」は降ってくる。突然の出来事にフェリーの外に投げ出さそうになった帆高を、ひとりの男が救助してくれた。
男の名前は須賀圭介(すがけいすけ)。彼は間違いなくおっさんだったが、まっとうな様子でもなかった。それでもなお命の恩人である圭介に、帆高は食事と高いビールをおごった。お金の持ち合わせの無い帆高に取っては痛手であった。
東京につき、フェリーを降りると2人は別れたが、圭介から名刺をもらった。そこには「有限会社K&Aプランニング CEO 須賀圭介」と記されていた。
お金も当てもない帆高はネットカフェを拠点に「未成年でも身分証がなくても保証人がいなくてもできる割のいいバイト」を探すことにした。魔窟東京都言えどもそんな都合のいい仕事など見つかるはずもなく、帆高は仕事を求め夜の東京をさまようことになる。そんなある夜、疲れ果てた帆高は雑居ビルの入り口で雨をしのいでいた。いつしか彼は眠ってしまっていたのだが、目が覚めると「こわそうな兄ちゃん」に睨まれていた。不意に帆高はそこを立ち去ろうとするが、その男に足をかけられてしまう。その純粋な嫌がらせに帆高はゴミ箱にぶつかり中をぶちまけてしまうが、ゴミの中に怪しい紙に包まれた拳銃らしきものを発見する。帆高は不意にその拳銃をかばんにしまった。
帆高はいつものようにファストフード店を訪れる。食費も切り詰めている帆高はそこで3日連続でホットドリンクを注文していた。そんな帆高に気づいていた一人の店員が、帆高にバーガーを1つおごってくれた。東京での孤独な日々の中でようやく感じることのできた人の暖かさであり、彼の人生の中で最もおいしい夕食だった。
翌朝、晴れ上がった東京の町を歩き、帆高は須賀圭介のもとを訪れた。もはやあの怪しげな男に頼る他に方法がなくなっていた。帆高は「CEO」という言葉に僅かな期待を寄せていたのだが、名刺にあった住所は寂れたスナックであり「会社」というにはあまりにも粗末なものであった。
圭介は雑誌「ムー」などに都市伝説系の記事を提供し生計を立てていた。従業員は実質的には圭介一人だったが、親戚の大学生須賀夏美(すがなつみ)もバイトとして手伝っていた。大した面接もなく、帆高はその会社に「仮採用」された。
帆高と夏美はネット上で有名な「晴れ女」について調査を開始する。怪しげな占い師によると、「晴れ女」は天気を作用する力を持っているがその力を使いすぎると消えてしまうという代償を抱えた存在らしい。もちろん帆高はそんな話を信じはしなかったが、その日のことを記事にまとめると、帆高は「採用」された。
帆高の仕事は雑用全般であったが、それでもなお新しい日々に充実感を覚えていた。そして「晴れ女」の調査も継続していた。
そんなある日、新宿の町中で、一人の女の子がガラの悪い連中に絡まれているのを発見する。その子は帆高にバーガーをおごってくれた女の子であった。その子が怪しげな店に連れ込まれそうになっているとこに、帆高はたまらず走りだし、その子を奪還し遠くへ逃げようとした。しかし、悪漢の足は速く、帆高は捕まってしまう。酷い暴行を受けた帆高は、その状況を逆転すべく、ほぼ衝動のように隠し持っていた拳銃を発砲してしまう。
それに驚いた悪漢を尻目に、帆高は女の子を付いれてなんとか雑居ビルに逃げ延びた。「良いこと」をしたと信じて疑わない帆高であったが、状況に混乱していたようなその女の子から拳銃の発砲を責め立てられ、終いには「きもちわるい!」とまで言われてしまった。彼女の態度にショックを受ける帆高だったが、拳銃を発砲したという事実に自分自身も混乱してしまう。帆高は何かをしでかしてしまった。
しばらくして混乱から立ち直った2人はしだいに打ち解けていった。すると女の子は雑居ビルの屋上に帆高を促した。屋上に上がると、雨の空を眺めながら「これから晴れるよ」と女の子は一言告げた。驚くべきことに、彼女のいうように見る見るうちに空は晴れていった。彼女こそまさに帆高が調査していた「晴れ女」だったのだ。
その超自然現象を尻目に、妙に冷静な2人はようやくの自己紹介を果たす。その女の子の名前は天野陽菜(あまのひな)。年齢は18歳と2歳も歳上であった。
陽菜の力によって晴れになった東京は、その夜、再び激しい雨が襲った。
世界の異変と陽菜の異変
帆高は陽菜の力の職業化を画策していたが、そんな帆高を尻目に世界は少しずつ異変を見せ始めていた。それを指し示すように、ネット上で不可思議な画像や映像が投稿され始めていた。そこには地上に落ちた雨が変化し、不可思議な透明な生物に変化する様子が収められていた。ネット上の画像や映像に帆高は懐疑的であったが、夏美は「雲の中の特殊な生態系の中にいる生物に違いない」と主張した。そんな夏美は就活に向かうのだった。
帆高は陽菜にアパートを訪れた。もともと母子家庭であった陽菜は、前年に母をなくしており、その部屋で弟の天野凪(あまのなぎ)と2人で暮らしていた。そこで食事をごちそうになった後に、帆高と陽菜は天気の子の職業化の話し合いを始める。もっとも重要なことは「晴れを請け負う料金」であったが、ビビった彼らは「500円」に設定した。仕事の発注はwebページで行った。
彼らの予想とは裏腹に、最初の仕事は直ちに決まった。ある屋外イベントからの依頼で、その日を晴れにしてほしいというものだった。もちろん主催者側も半信半疑だったのだが、陽菜たちは懸命に晴れを祈った。一向に良くならない天気に主催者側も諦めかけていたが、陽菜の祈りが届き、見事に空は晴れ上がった。
ネット上の噂は一気に広がり、仕事の発注が次々に入った。晴れの空に喜ぶ人々の姿に、彼らは自分たちの仕事に深い喜びを感じるようになっていった。生まれて初めて自分たちの行動が「人のためになる」という実感を持ったのだ。しかし、あまりにも多くの依頼が殺到し、そのすべてをさばききれなくなった帆高たちは、残った依頼を最後に一次の休業を決断する。その決断には、陽菜の「疲労」も関係敷いていた。
一方その頃圭介と夏美は「天気の巫女」に関する調査を行うためにある神社を訪れる。「天気の巫女」とは天気「治療」する役割を負った存在であり、人々の切なる願いを空に届ける事がその使命であった。そもそも人間は、分かりゆく天と地の間で仮住まいさせていただいている存在であり、そこにしがみついて振り落とされないように慎ましく生きるのがその本来の姿である。それでもなお空との細い糸として、「天気の巫女」は存在していた。そんな話を住職から聞いた圭介と夏美は、さらなる「天気の巫女」の秘密をも知らされることとなった。
帆高と陽菜は、休業前の最後の依頼に向かった。意外なことに、その依頼主は圭介であった。彼には娘がおり、妻を事故でなくした後は離れて暮らしていた。数少ない娘と会える日に、圭介は「晴れ女」に依頼を出したのだった。圭介の意外な姿を見たその日、帆高は陽菜に指輪を渡す計画を立てていた。圭介からの依頼を終えた帰り道、帆高は勇気を振り絞り陽菜に告白しようとする。その言葉を遮り、何かを訴えようとする陽菜の体が刹那に中に舞い上がり、不安定に浮遊した。
突然のことに驚く帆高であったが、陽菜は薄々自分の体の異常に気がついていた。陽菜の「晴れ女」の力は、母の病床で最後に一度でも晴れの空を見せてあげたいという切なる祈りを空に捧げたその日に手に入れたものだった。奇しくも陽菜が祈りを捧げたのは、帆高と2人で逃げ込んだ雑居ビルの屋上にある社だった。そしてその日から陽菜は「空と一体」となっていったのだった。そんな説明をする陽菜の体の一部は、半透明の水のようになっていた。
2人は陽菜のアパートに戻った。何か不穏な状況に不安を覚える2人のもとに警察が訪れる。警察は帆高を探していた。
帆高と陽菜の逃避行と最後の決断
陽菜はなんとか警察をかわしたが、子供二人での生活が問題視されてり、次の日に児童相談所の職員と再び訪れることを告げられる。楽な生活ではなかったが、誰にも迷惑をかけずに生きてきた陽菜は、自分と凪が引き裂かれるという恐怖とともに、大人の理屈に翻弄されることを強く拒絶する。その時、帆高のスマホが鳴った。圭介が帆高を探して陽菜のアパート近くに車で来ていた。
帆高を探す警察は陽菜のもとのみならず、圭介のもとにも訪れていた。事は単なる家出問題から「未成年誘拐事件」に発展していた。その事実に直面した圭介は「ゲームセット」を帆高に告げる。金を渡し「大人になれ」と帆高に実家に帰ることを促し、その場を去った。
圭介になにやら裏切られたような気持ちを抱きながら陽菜の部屋に戻ると、陽菜と凪は旅の準備をしていた。2人は「ここではないどこかへ」の旅に出ようとしていたのだった。陽菜は帆高に自分たちは「大丈夫だ」告げ、帆高には実家に帰るように勧める。しかしその姿にかつての自分の姿を重ねたのか、帆高は3人で逃げることを提案する。
その夜、東京には記録的な大雨が降っていた。
その大雨が原因で、ありとあらゆる交通機関が麻痺し、帆高たちは東京を出ることができなかった。そのような状況下、宿に止まることを決断するが、そもそも足止めを食らった人々でホテルが溢れている上に、子供3人を止める宿などなかった。それでもなおなんとか3人はラブホを確保する。
ラブホという状況を3人で懸命に楽しんだ。それは自分が置かれた厳しい状況からの頭皮だったかもしれない。それでもなお、その時間は3人にとって特別なかけがえのない時間となった。
凪が疲れて寝た後、陽菜はその体を帆高に見せる。帆高は一瞬怯むが、ほとんど透明になってしまった陽菜の体に衝撃を受ける。そんな姿を見て、何かの終焉を予感した帆高は世界に祈る。自分たちを放っておいてほしいと。しかし陽菜は帆高が寝静まった跡に、最後の願いを空に届ける。2人を救うために。
翌朝帆高が目覚めると、陽菜の姿はそこにはなかった。帆高は夢うつつに、陽菜が本当に空と一体になってしまったことを感じていた。
そこに警察がやってくる。警察に連れ出された帆高が見た空は見事に晴れ上がっていた。
しかしその空はたった一人の女の子の犠牲のもとに成立していることを帆高は知っていた。そんな帆高はパトカーで移送される。陽菜を犠牲に存在しているこの世界と自分自身に対する嫌悪に苦しんでいる帆高に、警官が陽菜の本当の年齢を帆高に告げる。陽菜の本当の年齢は15歳であった。凪との2人の生活を守るために、陽菜は年齢を偽り生活していたのだった。そんなことにも築けなかった自分に、帆高の自己嫌悪は加速する。
警察署で取調べを受ける帆高は「陽菜さんを助けに行かせてほしい!」と懇願するが、そのような意味不明な主張が通るわけもなかった。しかし覚悟を決めた帆高は走り出した。子供相手に油断している警察を振り切って、陽菜を救うべく走り出した。
帆高は一縷の望みをかけて、雑居ビルの屋上にある社に向かった。警官の包囲網は苛烈なものだったが、一念発起した圭介の助けもあり、帆高は社にたどり着く。帆高は祈る、陽菜のもとに導くように。
その祈りは届き、帆高は「空の世界」を旅する。その先に帆高は陽菜を発見する。帆高は懸命に陽菜を救おうとするが、陽菜は自分が救われることの代償を正しく理解していた。それでもなお陽菜を求める帆高に陽菜は応える。帆高は「空の世界」から陽菜を救うことに成功する。
その刹那、晴れ上がった東京を歴史的な大雨が再び襲った。
……それから3年。故郷に戻った帆高は高校を卒業した。あの日から一日も止むことのなかった雨は、東京という土地を変貌させていた。
それでもなお帆高は東京を目指した。それはあの人に合うためだったかもしれない。
上京して再び会う人々は彼に優しかった。自分がしでかしてしまった事によって東京という場所は水の町になっていた。それでもなお人々はそこで暮らし、新たな歴史を紡いでいた。
自分のしたことは何だったのか。あの全ては幻で、全ては空虚なものだったか?そんな予期せぬ疑問のなかで帆高は東京をさまよう。
そんな帆高は空に祈りを捧げる陽菜を発見する。きっと彼女はあの日からずっと毎日のように何かを祈っていたに違いない。そんな陽菜に帆高は告げる
僕たちは大丈夫だ!
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以上が個人的にまとめた「天気の子」のあらすじです。続いては、本作品の考察ポイントについて。
「天気の子」の考察ポイント
「天気の巫女」の本当の力
「天気の子」という作品のキーとなっていたのは陽菜の持つ「天気の巫女」としての力であった。作品中は主に「雨模様の天気を晴れに戻す」ために使われていたのだが、どう考えてもそれが「天気の巫女」の力の全てではない。というのも、少なくとも一度、陽菜はその祈りの力によって雷を落としている。
では、「天気の巫女」の本当の力はいったいなんなのか?「天気の巫女」はどのような存在であったのか?その件について以下の記事にまとめている。
上の記事は「客観的資料」に基づくものではなく、本編を見た感想(妄想)として私が思った事をまとめたものである。ぜひ皆さんの妄想と比べてみてください。
「僕たちは大丈夫だ」の意味
「天気の子」という作品は結局のところ「世界の命運よりも目の前の女の子」という、所謂「世界系」という枠組みに入るものにはなっている。自分たちが抱えている問題が世界の問題と直接関わっているという点においても「世界系」である。しかし、ラストの「僕たちはきっと、大丈夫だ!」というセリフの極端な自己肯定は、「世界系」ならざるものに思える。
「世界系」の基本構造は「自己否定」である。であるからこそ、「そんな自分が世界を変える」という自己否定に裏返しの物語が成立するのだろう。しかし「天気の子」のラストはその真逆である。なぜ、あのような極端な自己肯定で「天気の子」は終わったのだろうか?その辺のことについては、以下の記事にまとめている。
さて、一体何がそんなに「大丈夫」だったのだろうか?
走る帆高の頬の傷
「君の名は」の物語の終盤、陽菜を救うために走る帆高に態々左の方に傷ができるシーンが描かれている。めちゃくちゃ痛そうなのだが、帆高は走る。問題はなぜあのシーンが挿入されなくてはならなかったのか?ということである。あそこで帆高が傷を負わなくても物語としての「天気の子」にはまったく影響がない。しかしここには深い深い理由があると個人的には思うのだ。あの傷のシーンはどうして必要だったのか。それは以下の文書にまとめている。
皆さんはどう思いますか?
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