「となりのトトロ」は1988年に公開された宮崎駿監督による劇場用アニメーション作品である
今回は本編中に登場した個人的名言、名台詞を集めてみた。また、名言や名台詞は通常とは異なる言い回しが用いられることも多く「英語でどう言ってるんだろう?」と疑問に思ったことがあったので、英語表現についても調べてみた。ちなみに「となりのトトロ」の英題は・・・
である。
*以下の英語表現は市販のBlu-rayの字幕をもとにしています。また吹替版も参考にしています。
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「となりのトトロ」の名言、名台詞と英語表現
サツキの名言、名台詞と英語表現
「メイ、私たち、風になってる!」
Mei! We’re the wind!
この一言によって、サツキが薪を取りに行った時に彼女に吹いた一陣の風の正体がトトロであったが判明した(もしかしたらネコバスだったかもしれないが)。
夜中に強い風が吹くと未だに「トトロが来た!」と反射的に考えるようになっている。
もはやパブロフの犬状態だが、こういった感覚を人々の中に植え付けたことが「となりのトトロ」という作品の凄さの一つではないだろうか。
英語表現としては特におもしろいところはない。吹替版も同様であった。
「メイのバカ!もう知らない!」
Stop being silly! I’m going.
母の一時帰宅が延期されたことをメイに伝えたものの、頑なに「やだ」としか言わないメイに対して感情が高ぶって発してしまった一言。
この後に「お母さん死んじゃうかもしれない」と大泣きするわけだが、一連のサツキの姿を見て我々はようやく張り詰めていたサツキの心に気がつく。
そのことについて以下の記事にまとめている:
「となりのトトロ」を語る上でとても大事なシーンだと思う。
英語表現としては「silly」がポイントだろうか。「silly」は「愚かな」とか「ばかげた」といった意味になる。吹替版では「You such a baby. Just grow up!」となっており、より意訳になっている。
「トトロ、メイが迷子になっちゃったの。探したけど見つからないの。お願い、メイを探して!今頃きっとどこかで泣いてるわ」
Mei is lost and we can’t find her! She must be scared, please help me find her.
喧嘩別れをしたあとにメイが行方不明になったこともあり、サツキとしては藁にもすがる思いだったに違いない。
違いないのだが・・・サツキは何故トトロに助けを求めたのだろうか?
あの展開になんとなく納得してしまうのだが、サツキの行動になんとか説明をつけられないものかと思案している。しかし未だに妙案は浮かばない。
まあ、別にどうでも良いことなのだけれど。
英語表現としては特におもしろところはないと思われる。吹替版もだいたい同じであった。
メイの名言、名台詞と英語表現
「もう少しって、あした?」
Soon? Like tomorrow?
親が子供に言う「もう少し」ほど信用してはならない言葉はない。
結果論としてはこの「もう少し」という期待が、物語のラストのメイの失踪事件を引き起こしてしまったということにもなるだろう。
子供に不注意な期待をさせてはならない。子供は期待で暴走するから。
英語表現とてしは特におもしろいものはないが、吹替版では「”Soon” should be tomorrow?」となっていた。こういうところで「should」を使うのは我々日本人にとってはとても難しい。ニュアンス的には「あしたなの?」とい単純な疑問文ではなく「あしただよね?」というある種の意思のこもった疑問ということになるのかもしれない。
「あなた、トトロっていうのね!」
To-to-ro? You’re Totoro!
メイは勝手に「トトロ」と解釈しているが、実際のところトトロは唸っているだけで、メイ以外には別の音声に聞こえたことだろう。
彼らの本当の名前は一体何だったのだろうか?
英語表現としては特におもしろものはないが、吹替版では「Totoro?Is that what your name is?」となっていた。
「ほんとだもん!ほんとにトトロいたんだもん!うそじゃないもん!」
But it’s true! Totoro was here. I’m not lying.
私も幼少期に自らの真実を家族に信じてもらえず酷く屈辱的な思いをしたことがあるが、同様の経験をした人も多いかもしれない。
この後神社に向かって山の主に俺を言いに行った父の判断は見事だったお言えるのではないだろうか。
英語表現としては特におもしろところはないが、吹替版では「I really did see Totoro」となっていたのでより「ほんとにトトロに見たんだもん」という感じがでているのでより正確と言えるかもしれない。
サツキとメイの名言、名台詞と英語表現
「まっくろくろすけ出ておいで。出ないと目玉をほじくるぞ!」
Come here, dustbunnies. Come out, come out, wherever you are!
満面の笑みでひどいことを言っているが、それ以上に「出ないと目玉をほじくる」という全速力の矛盾が素晴らしい。
出てこなければ目玉はほじくれないので、結果的には「どうあっても目玉をほじくる!」という意思表示なのだろうか。
まあ、こういうことを満面の笑みでくちばしれるところが子供の自由というものかもしれない。
英語表現としては特別なものはないが、やはり「目玉をほじくる」という表現は完全にカットされている。ニュアンスを正確に伝える表現がないということもあるだろうし、そんなグロテスクな表現を子供が見る作品で使うわけにはいかないということかもしれない。
吹替版はもっと簡単になっており「Come on, come on, wherever you are.」の繰り返しとなっていた。
「夢だけど、夢じゃなかった!」
It was a dream. But it wasn’t a dream.
「となりのトトロ」という作品中最も心に残った台詞かもしれない。
個人的に作品中に発生した本当に不思議なことは2つしかないと思っている。つまり、
- メイがトトロと初遭遇したのち、目が覚めると別の場所にいた。
- 夜中にトトロと一緒に育てた大木が翌日消えていた。
である。
1つ目に関しては、寝てしまったメイをトトロ達がのそのそと運んであげたわけではないだろう。ではメイはトトロに遭遇しなかったのかというとそうでもない。
2つ目に関しても、一生懸命に育てた大木をトトロたちが再び超常の力を持ってもとに戻したわけではない。しかし、あの現象が本当は発生しなかったのかというとそうでもないだろう。
まさに「夢だけど夢じゃないこと」が発生したのである。
「となりのトトロ」を象徴するような名台詞だと個人的には思う。
英語表現としてはまさに直訳であり、中学生でも確実にかける英文である。
お父さんの名言、名台詞と英語表現
「明るい所から、急に暗い所に入ると、目が眩んで、マックロクロスケが出るのさ。」
When you walk int a dark room from outside, your eyes dim and so the dustbunnies come out.
この発言の後に自分の子供達からおばけの存在を示唆されたときには「そりゃあスゴイぞ!お化け屋敷に住むのが子供の時からお父さんの夢だったんだ。」といっているが、「まっくろくろすけ」を最初に匂わされたあとには極めて現実的な対応をして見せている。
こうなってくると、お化け屋敷に住むのが夢だったという発言の真偽も疑わしい。あのときの状況を思い出してみると、彼は重い荷物を持っており、娘たちの話を聞いている余裕がなかったように見える。
これは極めて個人的な見解に過ぎないが、彼は人生で一度たりともお化け屋敷に住みたいなんて思ったことはないだろう。
そして、「マックロクロスケ」を「目の眩み」と断じた彼こそがリアルな姿なのだと思う。
「ススワタリ」の話をしたおばあちゃんの暖かさとの対比がなんとも素晴らしい。
ただ、私もいい大人になってしまったので、どちらかというと彼の対応を擁護したい気持ちの方が大きい。忙しいときには忙しい時の親がいるのであって、別に子供の言うことを聞いていないわけではない。ちょっと軽口を叩いてしまうだけなのである。
英語表現としては「dim」と「dustbunny」であろう。「dim」は形容詞としては「薄暗い」とか「ぼやけた」と言った意味で、自動詞としては「薄暗くなる」とか「かすむ」という意味となる。
そして「dustbunny」は「まっくろくろすけ」の英訳となっている。直訳としては「ごみのうさぎ」となってしまうが、通常は「ほこりのかたまり」という意味で、一般的に使われる表現である。英語吹替では「soot gremlin(すすのおばけ)」という表現もなされていた。我々の直感としては「soot gremlin」が近いのではないだろうか。
ちなみに、おばあちゃんの台詞にある「すすわたり」の字幕表現「soot spreaders」、吹替では「soot sprites」となっていた。「spreader」は「広げるひと」、「sprite」は「陽性」という意味になる。個人的に「まっくろくろすけ」というと「sprite」のような気もするが「すすわたり」なら「spreader」でよいような気もする。
お母さんの名言、名台詞と英語表現
「相変わらずのくせっけねー。あたしの子供の頃とそっくり。」
Wavy hair, just like mine when I was your age.
この台詞とともにお母さんがサツキの髪をとかすシーンは、「となりのトトロ」という作品中屈指の名シーンといっても過言ではないと思われる。
ただ・・・。このシーンで私はどうしてもお母さんが嘘をついていると思ってしまう。
このことについては以下の記事にまとめている:
少々行き過ぎた記事ではあると思うが、個人的な感想を正直に述べたものではある。皆さんはどう思いますか?
英語表現としては「癖っ毛」を直接「wavy hair」としているところがポイントだろうか。なんとなくニュアンスは伝わるのかもしれないがあまり「wavy hair」とは思えない。吹替版では「your hair never cooperate」としているので「ぜんぜんまとまらないわね」くらいの意味になっているので、こちらの方に軍配があがるように思われる。
「退院したら、今度はあの子たちにうんとワガママをさせてあげるつもりよ。」
I’m going to spoil them for a while when I come home.
「あの子たち」と複数形にはなっているが、本質的にはサツキのことを思っての発言だろうと思う。
病気は自分のせいではないのに、どうしても「ほったらかしにしている」と思ってしまうのが人情というものかもしれない。特に親なら。
ただ、お母さんのこの発言はエンディングタイトルの背景として完璧に実現されていることがわかる。そしてそこでのサツキはきちんと子供に戻っており、我々はほっとするのである。
「となりのトトロ」がハッピーエンドの物語であることを忘れてはならない。
英語表現としては「spoil」がポイントだろうか。「spoil」は「甘やかす」、「だめにする」、「腐らせる」と言った意味でそれほどポジティブな雰囲気のない単語だが、ここでは本当にだめにしてしまうくらい甘やかせるのだという意気込みが感じられるので、「spoil」が適切ということなのだろう。
日本語なら「甘やかす」の別表現として「甘やかす」を使うこともあるので、お母さんの糸は「めちゃくちゃ可愛がる」という意味だったかもしれないが、一度家に帰ってしまえば結局「spoil」することになるのだろう。
「今、そこの松の木でサツキとメイが笑ったように見えたの」
I could swear I just saw Satsuki and Mei laughing up in that tree.
この発言は今なお「となりのトトロの都市伝説」を擁護する根拠として採用されている。
本質的な問題はこの発言の直後に発見される「おかあさんへ」と書かれたとうもろこしである。あのとうもろこしをどうやってサツキとメイは窓際においたのか、そして両親はそんな不可思議な状況を何故受け入れたのか。
疑問は尽きないかもしれないが、少なくとも両親の対応に関しては理屈をつけることができる。
あの病院、そして病室にいる人は別にサツキとメイの母親ばかりではない。その状況下で「おかあさんへ」というとうもろこしを見た時に、いい大人が考えることは「これはだれのお子さんが置いていったものだろう」しかない。
どんな理由かは分からないが、同じ病室にいる誰かのお子さんが置いていったものと考えるのが必然である。なぜならサツキとメイがそこにいるわけがないから。
ただそこで「」といったお父さんの発言は彼にしては十分にロマンチックなものだったといえる。
最後に残る問題は、木の上から両親を見下ろしているサツキとメイが何故見えないのか?見えた気がしただけなのか?という問題である。
これに関しては、一つ重要なことを思い出さなくては行けない。
あの瞬間の両親は、メイが行方不明になっていることを知らいないという事実である。
つまり、あの瞬間二人は「夫婦水入らず」の状態にあった。別の言い方をすると「いい感じ」になっていた。
そんな時にお母さんが放った「今、そこの松の木でサツキとメイが笑ったように見えたの」はいわゆる「閑話休題」であって、内心盛り上がってしまっている状況にあえての「水入り」を仕掛けたと考えることもできるだろう。
そして偶然にも、本当にサツキとメイがいたのである。
それでも二人の目にサツキとメイが映らなかったことの説明ができないと思うかもしれない。しかしそんなもんである。「となりのトトロ」は「夢だけど夢じゃなかった物語」である。このような物語は子供達だけが享受出来るものだが、あの瞬間大人であるお母さんもその物語を体験したということではないだろうか。
お母さんは「夢だけど夢じゃないもの」を見たのである。私はそれであっていると思う。
英語表現としては「swear」がポイントだろう。「swear」は「誓う」とか「断言する」という意味なので日本語の「笑っているように『見えた』」という曖昧さの真逆を行っており寧ろ「確かにあの木の上でサツキとメイが笑っていた」というニュアンスになるだろう。ここは絶妙なところだが、お母さんの目には確かに写ったのであり、それをひとに話す時に「見える」と少々表現をぼやかしたと考えれば寧ろ正しいとも言える。
吹替版でも「I found Satsuki and Mei laughing」と表現されており意味を和らげる表現はどこにもない。
カンタの名言、名台詞と英語表現
「カアちゃんが、ばあちゃんに… ん! ん!!!」
Huh…my mom…for Granny.
「男」以外の存在を生まれて始めてみたような初々しさを感じさせてくれる台詞でありシーンである。
このシーンの直前に、彼は遠目にサツキを確認しているが、彼が人生で初めて目にした「美しい人」だったのだろう。この後の彼の行動は「となりのトトロ」を極めて絶妙に彩ってくれている。
カンタを影の主人公とよんでも差し支えないのではなかろうか。
英語表現としては「granny」だろう。基本的には「おばあちゃん」という意味なのだが、少々侮蔑的なニュアンスが含まれるようなので「ばあちゃん」に最適ということだろう。吹替では「My mom said to give it grandma」といっているので、日本語のニュアンス的には字幕のほうがただ良いように思われる。
「やーい、おまえんちオバケやしき!」
You live in a haunted house!
私はいまだかつて「好きな子をいじめる」なんてことをした記憶はないが、カンタのこの台詞はまさに「初恋の隠蔽」としての憎まれ口であっただろう。
このように考えると、「ん!ん!」とサツキに傘を渡すシーンは「初恋の肯定」と捉えることも出来るかもしれない。
いずれのシーンにおいてもカンタは「自分の思い」に酔いしれているにすぎないのだが、物語の終盤、メイの失踪に際して彼も懸命の努力を見せている。このへんは「となりのトトロ」に描かれているカンタという登場人物の人間的成長といえるかもしれない。
ただ、そんなカンタの恋の行く末に関しては極めて絶望的な予想を私はしており、わざわざ記事を書いてしまった:
彼の恋の行方がどうなろうとも、私は彼を肯定する。
英語表現としては特に言うべきことはないのが残念である。吹替では「Hey! You live in there. Your house is haunted!」となっているので、こちらは英語表現の方がより正確と思われる。
この記事で使用した画像は「スタジオジブリ作品静止画」の画像です。
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