映画「ブレット・トレイン(Bullet Train)」は2022年に公開された、監督 デヴィッド・リーチ、原作 伊坂幸太郎(「マリアビートル」)の劇場用作品である。
「bullet」は「弾丸」や「銃弾」という意味なので「bullet train」を直訳すると「弾丸列車」となるが、実際には「日本の新幹線」を指す表現である。
映画館でその特報を見て心の底から「なんじゃこりゃ?」と思ったことを覚えている。間違いなく日本が舞台なのだがどう考えても日本じゃない。間違いなく新幹線内だがどう考えても新幹線じゃない。
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今どきこんな映画が許されるのかと全く見る気が起きなかったのだが、何故か頭にこびりついていた。いずれにせよ「見ずに語る」ほどマヌケなことはないので、ネット配信を期に見ることにした。結果的には思いの外面白く、映画館で見ても良かったかもしれないとも思った。
今回は「ブレット・トレイン」のキャスト、スタッフをまとめ、個人的に考えた映画の面白がり方を書いていこうと思う。先に補助線となるキーワードを述べておくと「天外魔境」と「パルプ・フィクション」である。
「ブレット・トレイン」のキャスト&スタッフ一覧
監督 | デヴィット・リーチ |
---|---|
原作 | 伊坂幸太郎 |
レディバグ(てんとう虫) | ブラッド・ピット |
プリンス(王子) | ジョーイ・キング |
タンジェリン(みかん) | アーロン・テイラー=ジョンソン |
レモン | ブライアン・タイリー・ヘンリー |
木村雄一(ファーザー) | アンドリュー・小路 |
エルダー(長老) | 真田広之 |
サン(息子) | ローガン・ラーマン |
ホーネット | ザジー・ビーツ |
車掌 | マシ・オカ |
車内販売員 | 福原かれん |
木村渉 | ケヴィン・アキヨシ・チン |
峯岸 | 嶋本信明 |
アレクセイ・イリイン | パシャ・リチニコフ |
ジェフ・ズフェルト | デヴィッド・リーチ |
新幹線の乗客 | チャニング・テイタム |
カーバー | ライアン・レイノルズ |
「ブレット・トレイン」の面白がり方

ハリウッドが作った「天外魔境」
「ブレット・トレイン」全体に漂う雰囲気を言葉にするならば「外国の人が考える誤った日本感」ということができるのではないだろうか。
日本人もありとあらゆる外国を基本的には誤解しているものだが、自国の描かれ方となると自分のことを棚に上げて不満を持つものである。
しかし、この「誤った日本感」を逆手に取って作られたゲームがあった。それが「天外魔境」である。
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つまり我々は「誤った日本感」を楽しむということをすでにしている。したがってこの「ブレット・トレイン」においても、作り手が「自分たちが持つ誤った日本感」をあえて描いていると思って見れば、見え方は変わるのではないだろうか。
その上で奇妙なドタバタアクションコメディーとして楽しめば良いのである。
凝縮された「パルプ・フィクション」
上で述べた通り「ブレット・トレイン」は主人公レディーバグ(てんとう虫)がどんどんトラブルに巻き込まれるドタバタアクションコメディーとまとめてしまって良いものであろう。
その上でやたらと「運命」という単語が繰り返される。
「ドタバタコメディー」と「運命」というキーワードで思い出されるのが「パルプ・フィクション」ではないだろうか。とくに、ブルース・ウィリス演じるブッチの逃走劇を思い出す。
レディバグとブッチの共通点を言葉にすると「世界一運が悪くて世界一運がいい男」ということになるだろう。バグもブッチもすべてのことが悪い方に傾くが、結果的に奇跡の逆転を見せる。
「パルプ・フィクション」にはそういった部分以外の要素が散りばめられているのだが、結果的に「ブレット・トレイン」はその部分が凝縮されていると見ることもできる。
「ブレット・トレイン」を見ながら「パルプ・フィクション」を思うのも一興ではないだろうか。
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