【ホーム・アローン(1作目)】雑学&豆知識集-裏話や制作秘話を紹介-
「ホーム・アローン(20th Century Studios公式)」は1990年に公開されたクリス・コロンバス監督、ジョン・ヒューズ脚本によるファミリー・コメディ映画である。私にとっては子供の頃にVHSが擦り切れるほどに見た思い出の作品となっている。
今回は「ホーム・アローン」に関する雑学、豆知識をまとめていこうと思う。クリスマスの定番として擦り切れるほど観たという人も多いだろうが、その裏側には驚くべき制作秘話や、あわや実現しなかった「もしも」の歴史が数多く隠されている。
*この記事は、すでに「ホーム・アローン」を鑑賞済みで、大まかなストーリーをご存知の方向けの考察となっています。「あらすじや結末を忘れてしまった」「もう一度ストーリーを振り返りたい」という方は、先に以下の記事をご参照ください。
この記事の内容を、AIが対話形式(ラジオ形式)で分かりやすく解説してくれます。
「ホーム・アローン」の雑学&豆知識集
脚本は「9日」で書き上げられた
「ホーム・アローン」の脚本は、ジョン・ヒューズが短期間で一気に書き上げたことで知られている。しかも単に早いだけではなく、完成原稿が“勢いのある走り書き”のように語られている点が面白い。
本作のテンポの良さや、ギャグの畳みかけ、そして終盤の大仕掛けに至るまでの加速度は、脚本段階の勢いと相性が良かったのかもしれない。
予算の壁で、配給(制作体制)が一度“ひっくり返った”
実は本作、当初の体制のままでは最後まで走りきれなかった。制作側は予算をめぐって大きな壁にぶつかり、結果として作品を抱えるスタジオ(配給の軸)が変わる。
「たったそれだけ?」と思うような金額差で起きた出来事だからこそ、映画が“紙一重”で別の歴史を辿り得たことが実感できる。
家の“内部”は、本物の家ではなく高校の体育館に建てられた
映画「ホーム・アローン」の舞台となった家は、イリノイ州ウィネトカ、リンカーン・アベニュー671位置した家であり、1920年に建てられたものになっている。
少なくとも日本に住む我々としては非常に大きな家と感じるのだが、内部の撮影は別の場所に組まれたセットで行われている。。
ニュー・トリア・タウンシップ高校の体育館に2階建てのセットを丸々建てたのだという。セットだからこそ可能になった動線設計が、終盤の罠(トラップ)連打の“見やすさ”にもつながっているのかもしれない。
泥棒のハリー役はロバート・デ・ニーロが候補だった
「ホーム・アローン」の悪役といえば、ジョー・ペシ演じる短気な泥棒ハリーと、ダニエル・スターン演じる間抜けな相棒マヴのコンビ「ウェット・バンディッツ(水濡れ強盗)」である。
特にジョー・ペシのコミカルながらもどこか狂気を感じさせる演技は作品のスパイスとなっているが、実は企画当初、この役には大御所俳優ロバート・デ・ニーロが想定されていた。
制作陣はハリー役に「本物の威圧感」を持つスターを求めていたが、デ・ニーロはこのオファーを断っている。もし彼が演じていれば、もっとシリアスでハードボイルドな泥棒になっていたかもしれない。
さらに、デ・ニーロの辞退後、コメディアンのジョン・ラヴィッツにもオファーがいったが、彼もまた「子供が主役の映画で引き立て役をやりたくない」という理由で断っている。後に映画が歴史的大ヒットを記録した際、ラヴィッツは「おっと(Oops)」と後悔を口にしたという。
ジョン・キャンディの出演料はわずか414ドルだった
ケビンの母ケイトが空港で足止めを食らっている際、親切にシカゴまで車に乗せてくれる「ポルカ・バンドの王様」ガス・ポリンスキー。演じているのは名優ジョン・キャンディである。
彼は脚本家ジョン・ヒューズの親友であり、「おじさんに気をつけろ!」などでタッグを組んでいた常連だったが、「ホーム・アローン」への出演はあくまで友人としての「友情出演(Favor)」であった。
そのため、当時の彼のスター性からすれば考えられないことだが、受け取ったギャラは規定の最低賃金に近いわずか414ドル(当時のレートで約数万円)であったと言われている。これは映画のエキストラやピザ配達員役よりも低い金額であった。
さらに驚くべきは、多忙なスケジュールの合間を縫って参加したため、彼の出演シーンは連続23時間の耐久撮影で一気に撮りきられたということである。劇中で語られる「葬儀屋に子供を残してきた話」などのセリフの多くは、疲労困憊の中で生まれた彼のアドリブであった。
▼ ジョン・キャンディ以外のキャスト詳細はこちら
バズのガールフレンドの写真は「女装した男の子」
家族がいなくなった家で、ケビンが兄バズの部屋を物色するシーンがある。そこでバズの「ガールフレンドの写真」を見つけ、「ウヘェ…(Woof!)」と顔をしかめるのが定番の笑いどころとなっている。
写真に写っているのは非常に愛嬌のある(意地悪く言えば不器量な)女の子だが、実はこの写真の人物は映画のアートディレクターの息子を女装させて撮影したものである。
クリス・コロンバス監督は「世界中の観客に笑われる役として、本物の女の子の写真を使うのはあまりにも残酷すぎる」と判断し、スタッフの息子に頼んで撮影したという。制作陣の意外な配慮が隠されたシーンであった。
ギャング映画「汚れた魂の天使」は存在しない
ケビンがピザの配達員や泥棒を追い払うために使うビデオ映画「汚れた魂の天使(Angels with Filthy Souls)」。モノクロ映像で「釣りはとっときな、この汚ねえ動物め!(Keep the change, ya filthy animal)」という名台詞を吐くこの映画は、実在する古い映画だと思われがちだが、「ホーム・アローン」のために作られた架空の映画である。
元ネタは1938年のジェームズ・キャグニー主演映画『汚れた顔の天使(Angels with Dirty Faces)』であるが、劇中の映像はこのシーンのためだけに、わざわざ古い撮影機材や照明技術を使って新撮された。
あまりにも完成度が高いため、長年にわたり「実在するクラシック映画」だと信じてレンタルビデオ店を探し回る人が後を絶たなかったという。
雪の正体は「マッシュポテト」だった
映画のクライマックス、家族が帰宅するシーンなどで見られる美しい雪景色。実は撮影当時、シカゴには十分な雪が降っていなかった。
そこで制作チームが人工雪として採用したのが、なんと乾燥マッシュポテトのフレーク(ポテトフレーク)である。
当時の技術では、プラスチック片などよりもポテトフレークの方が軽やかに舞い落ち、雪の質感に近かったためだ。しかし、これには重大な欠点があった。時間が経つと水分を含んで変色してしまったり、腐敗して異臭を放つ可能性があったりしたのだ。
美しいクリスマスの雪景色の足元が、実は大量のジャガイモで埋め尽くされていたと想像すると、少し見え方が変わってくるかもしれない。
ケビンの「叫び」はムンクとアドリブの融合
この映画のポスターにもなっている、ケビンがアフターシェーブローションを塗って両手を頬に当てて叫ぶシーン。このポーズは、有名な絵画であるエドヴァルド・ムンクの『叫び』からインスピレーションを受けている。
さらに、このシーンの演技自体もマコーレー・カルキンのアドリブ(勘違い)から生まれた奇跡的なテイクだった。
監督の指示では「ローションを塗って、手を離してから叫ぶ」という段取りだったが、カルキンは手を頬に貼り付けたまま絶叫した。これがムンクの絵画のような強烈なビジュアルインパクトを生み、そのまま採用されることになったのである。
ケビンのスタントマンは30歳の男性だった
ケビンが階段をそりで滑り落ちたり、ジップラインでツリーハウスへ脱出したりする危険なアクションシーン。これを演じていたのは当然マコーレー・カルキン本人ではなく、スタントマンである。
そのスタントマンを務めたのは、当時30歳のラリー・ニコラスという男性だった。
彼は非常に小柄な体格で、後ろ姿やシルエットが9歳のカルキンとそっくりだったため、大人が子供のふりをして危険なスタントをこなすことができた。カルキンは初めて彼に会った時、自分より少し年上の13歳くらいの子供だと思い込んでいたという。
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