「サマーウォーズ(公式)」は2009年に公開された細田守監督による劇場用アニメーション作品である。
今回は「サマーウォーズ」の登場人物と声優を振り返りながら、それぞれの魅力や物語について考えていこうと思う。「サマーウォーズ」の登場人物はどんな人々だったのだろうか?
以下の文章では不意なネタバレが含まれる可能性があるので、その点はご注意ください。
この記事の内容を、AIが対話形式(ラジオ形式)で分かりやすく解説してくれます。
「サマーウォーズ」の主要な登場人物&声優一覧
名前 | 年齢 | 声優 |
---|---|---|
小磯健二 | 17歳 | 神木隆之介 |
篠原夏希 | 18歳 | 桜庭ななみ |
陣内栄 | 90歳(享年) | 富司純子 |
池沢佳主馬 | 13歳 | 谷村美月 |
陣内侘助 | 41歳 | 斎藤歩 |
陣内万助 | 70歳 | 永井一郎 |
陣内理一 | 41歳 | 桐本琢也 |
陣内太助 | 45歳 | 小林隆 |
陣内翔太 | 21歳 | 清水優 |
「サマーウォーズ」の人物相関図と家系図
人物相関図

主人公の健二は、憧れの先輩・夏希に頼まれ、彼女の曾祖母・栄の誕生日を祝うために長野県上田市を訪れる。そこで健二は、ひょんなことから仮想世界「OZ」を混乱させた犯人に仕立て上げられてしまう。
物語は、健二と夏希、そして栄を中心とした陣内家の一族が、世界の危機に立ち向かうために団結する姿を描いている。
家系図

より詳しい家系図は「サマーウォーズ」の公式サイトのサイドバーから「キャラクター」をクリックして開いたウィンドウから「家系図」を更にクリックすると見ることができます。
登場人物と声優の基本情報とキャラクター考察

小磯健二|声優:神木隆之介
小磯健二(こいそ けんじ)の基本情報
物語の主人公。物理部所属の高校2年生(17歳)。
数学オリンピックの日本代表をあと一歩で逃したほどの数学の才能を誇っているが、性格は内気で人付き合いはそれほどうまくはないように描かれている。
憧れの先輩である夏希から「婚約者のフリをする」という奇妙かつ夢のようなアルバイトを頼まれ、長野県上田市の陣内家を訪れる。その折に、「Solve me」という件名の謎のメールを受信し、2056桁の数字の羅列からなる暗号を解いてしまったことから、仮想世界「OZ」を大混乱させたハッキング犯として報道されてしまうが、実際のところ健二は解読をミスっており、完全な濡れ衣であった。
最初は戸惑うばかりだったが、陣内家の人々の温かさや栄の優しさ触れ、世界の危機に立ち向かう決意をする。
「よろしくおねがいしま~~~す!」
「ラブマシーン」との最終決戦で、健二が「よろしくおねがいしま~~~す!」と叫びながらエンターキーを押すのだが、あれは栄おばあちゃんから「私が勝ったらあの子をたのむよ」と言われたことに対する遅ればせながらの返答であった。
私は初見では健二がなんであんなことを叫びながらエンターキーを押したのかわからなかったのだが、2回ぐらい見るとその構造が見えてその意味が理解された。
物語の最初期では少々オドオドしたところがあったが、栄おばあちゃんの死が彼を成長させたのかもしれない。
一方で、夏希不在の状況で頼まれたことに対して勝手に「よろしくおねがいしま~~~す」といっているのだからなんとも勝手な話という見方もできる。
結果的に「いい仲」になったわけだから良かったのだが、そうでなかったとしたらなんとも虚しい叫となっていた。まあ、彼は「主人公」なので、「そうでない」なんてことは発生してないのだけれど。
健二みたいなやつはいるのか問題-脅威の曜日当て-
最後に「小磯健二」という人間のキャラクター設定のリアリティについて考えてみようと思う。
彼の表面上の特徴としては:
- とても数学が得意で、
- とても痩せていて、
- あまり人付き合いが得意ではない。
となると思う。こんなステレオタイプの「理系男」が存在しているかというと、少なくとも私の経験上は存在している。私の大学の後輩がまさにそうだった。彼は数学科に所属しており、その中でも優秀で、とても痩せていた。人付き合いはそれなりにうまかったと思うが、「理系」以外の人と比べてどうかは判断が難しい。
そして、とても優しい男だった。
更に、物語の序盤で健二は「生年月日から曜日を当てる」という特技を披露しており、彼が言うには「モジュロ演算」によるものであった。おそらく想定されていたのは「ツェラーの公式(Wikipedia) 」と思われる。リンク先の公式を見ると「mod 7」とか「mod 100」と書かれていると思うがこれが彼の言うところの「モジュロ演算」だろう。「mod 7」は7で割った余りを考えるということであり、「mod 100」は100で割った余りを考えるということである(「mod」は「modulo(モジュロ)」の略となっている)。
実は私の大学の先輩で健二と同じことができる人がいた。その先輩の説明を聞くに、もう少し「有機コンピューター的」な方法を取っており、一生懸命計算して曜日を当てていると言うよりはカレンダーの形が頭に思い浮かぶということだった。
どれほど暗算が得意な人でもツェラーの公式を用いてあの速さで曜日を導くことは出来ないと思われる。
健二も「説明のためにツェラーの公式(モジュロ演算)を用いた」と考えるのが妥当と思われる。
声優の神木隆之介さん
声を担当したのは俳優の神木隆之介さん。もはや説明不要の人気俳優でありどの作品を見ても必ず出演しており、声優としても数多くのキャラクターを担当している。
声の仕事としては、「君の名は。」の立花瀧、「千と千尋の神隠し」の坊、「ハウルの動く城」のマルクルなど、重要な役を演じている。
篠原夏希|声優:桜庭ななみ
篠原夏希の基本情報
物語のヒロイン。剣道部に所属する高校3年生(18歳)。
明るく活発な性格であり、曾祖母である栄の90歳の誕生日を祝うため、後輩の健二に「婚約者のフリ」を頼んで実家に連れて帰るという、大胆な行動力の持ち主。
物語の終盤、AI「ラブマシーン」との最終決戦では、陣内家の結束の象徴として、花札で勝負を挑む。世界中の人々からアカウントを託され、見事に勝利をおさめた。
物語のスタートを支える強烈な「自意識」
「サマーウォーズ」という物語は、AIの功罪とか、「家族」といったトピックスがその中心あると思うのだが、そんなこととは無関係に「サマーウォーズ」という映画を本質的に推進したのは、夏希の過剰な「自意識」ということができるだろう。過剰な「自己肯定感」と言ってもいいかもしれない。
まず、「自分と旅行に行くというアルバイト」を募集して誰かがホイホイとついてくると考えているところに過剰な自意識を感じるし、「実はフィアンセを演じることも含まれる」という後出しジャンケンを受け入れてもらえるというところにも過剰なものを感じる。
健二としては「憧れの夏希先輩との夢のような夏の旅」と思ったかもしれないのだが、端から見ていれば完全になめられている。
そもそも、健二とその友人である佐久間に声を掛けているところも不可思議である。彼らは「物理部」の所属であるが、部室の扉には「PC部」、そして二重線で消された「オタク部」という文字も見て取れた。少なくともあの部屋にいる人々が学校の「一軍」であることはないだろう。早い話が「こいつらなら話に乗ってくる」と思われたということになるだろう。
「ラブマシーン」による事件が発生したおかげで、夏希と「いい仲」になるというサヨナラ逆転満塁ホームランを健二は打つことが出来たわけだが、「ラブマシーン」の一件が発生していなかったと考えるとゾットする。彼は人間としての尊厳を完全に傷つけられて長野を後にする羽目になったのではないだろうか。
なんとも結果オーライな物語であった。
声優の桜庭ななみさん
声を担当したのは俳優の桜庭ななみさん。本作が声優の仕事しては初だったようだが、後に「ドットハック セカイの向こうに」の有城そら役を演じている。女優としても数多くの映画やドラマで活躍している。
陣内栄|声優:富司純子
陣内栄の基本情報
夏希の曾祖母で、戦国時代から続く陣内家の16代目当主。90歳の誕生日を目前に控えていた。
武家の血を引くだけあり、非常に気骨のある女性。OZの混乱が現実世界に影響を及ぼし始めた際には、黒電話一つで各界の重鎮に電話をかけ、事態を収拾させようと奔走する。その人脈と行動力は、一族の大黒柱と呼ぶにふさわしいものであった。
「あんたならできる」「一番いけないのは、お腹が空いていることと、独りでいることだから」など、彼女の言葉は健二だけでなく、多くの登場人物を心底鼓舞するものであった。まさに陣内家の精神的支柱であった。
電話を掛けなくても良かったんじゃないか問題
映画「サマーウォーズ」の名シーンの一つは、「ラブマシーン」がOZに混乱を発生させた際に、黒電話で家族や各界の重鎮に電話をかけるシーンである。
しかし、私は初見のときから「電話かけなくてもいいよな~」とあまりよくない感想を持っていた。
あのときはまさに緊急事態であり「家族の安否」を確認することはとても重要なことであるが、今この瞬間に事にあたっている人に連絡を入れてはいけない。邪魔なだけだから。
電話していた相手が「いまやろうと思っていた」といったことを叱責していたが、おそらく本当にやろうとしており、電話を掛けなくても良かった。そして、電話を掛けたことで無駄な時間を使わせている。
全体としての「サマーウォーズ」はとても好きなのだが、この点だけはどうしても違和感を拭うことが出来なかった。
しかし、「栄おばあちゃんは何故侘助に資金援助をしたのか」ということを考えたとき、あの電話シーンの見え方が全く変わった。
このことについては以下の記事にまとめている:

皆さんはあの電話のシーンをどう思っただろうか?
声優の富司純子さん
声を担当したのは俳優の富司純子さん。子供の頃から様々な作品でその姿を見てきた。栄おばあちゃんの役にも完全にハマっており、陣内栄当人物に大きな説得力を与えていたと思う。
声優としては「海獣の子供」のデデの担当もしている。
池沢佳主馬|声優:谷村美月
池沢佳主馬の基本情報
夏希の又従兄弟にあたる13歳の少年。普段は引きこもりがちで口数も少ないが、OZの世界では格闘技チャンピオン「キングカズマ」として絶大な人気を誇っている。
いじめを乗り越えるために祖父の陣内万助に少林寺拳法を習った(この経験が「キングカズマ」の活躍に生かされている)。OZに混乱をもたらした「ラブマシーン」との対決を挑み一度は敗れるものの、健二や陣内家の人々のサポートを受け、リベンジマッチに挑むのだが・・・陣内翔太の間抜けな行動により再び敗北してしまう。
それでもなお、物語の最終盤において健二と侘助をサポートし、陣内家の勝利に貢献した。
声優の谷村美月さん
声を担当したのは俳優の谷村美月さん。細田守監督作品では「時をかける少女」の藤谷果穂役、「おおかみこどもの雨と雪」の美穂役も担当している。
陣内侘助|声優:斎藤歩
陣内侘助の基本情報
栄の夫の婚外子であり、幼少期に陣内家の養子となる。夏希の初恋の相手で41歳。血縁上は夏希の祖父世代(つまり大叔父)にあたるが、年齢的には親世代となっており、夏希も「侘助おじさん」と呼んでいる。
かつて陣内家の財産を持ち出して失踪と思われていたが、栄の90歳の誕生日に10年ぶりにふらりと帰ってくる。ぶっきらぼうで皮肉屋なところがあり、栄おばあちゃんにも軽口を叩くが、深い愛情を抱いている。
彼が開発したAI「ラブマシーン」が、今回の事件の元凶となってしまうが、その研究のために利用した「持ち出した財産」は実のところ栄おばあちゃんが支援したものであった。
彼は「自分はAIの開発者に過ぎず今回の件には責任はない」という立場をとっていたが、栄おばあちゃんの死後、自らが引き起こした事態に責任を感じ、最終的には陣内家の一員として世界を救うために尽力する。
栄おばあちゃんが侘助を援助した謎
上でも述べたように、侘助がAI「ラブマシーン」を開発するための資金は栄おばあちゃんが支援したものであった。しかし問題となるのは、その事実が家族に隠蔽され、侘助が持ち逃げしたことになっていたことである。
映画本編を見るに、栄おばあちゃんが支援するといえば家族は納得しそうなものである。それでもなおその事実を隠さなければならなかったし、隠さなければならなかったのに資金援助をしたことになる。
このことについて個人的に考えたことを以下の記事にまとめている:

皆さんは栄おばあちゃんの侘助への資金提供をどのように考えるだろうか?
声優の斎藤歩さん
声を担当したのは俳優の斎藤歩さん(1964年12月20日~2025年6月11日)。侘助の「世界を斜に見る雰囲気」が見事にでており、はまり役だったと思う。
残念ながら2025年6月11日、尿管癌のために亡くなっている。
陣内万助|声優:永井一郎
陣内万助の基本情報
栄の次男で、新潟で漁師をしている。佳主馬の少林寺拳法の師匠でもある。豪快な性格で、陣内家の男衆をまとめるリーダー的存在といえなくもないが、女衆からは軽薄な人間に見えているようである。
声優の永井一郎さん
声を担当したのは、声優の永井一郎さん(1931年5月10日~2014年1月27日)。有名どころでは「サザエさん」の磯野波平、「宇宙戦艦ヤマト」の佐渡酒造、「機動戦士ガンダム」のナレーター、「うる星やつら」の錯乱坊などを担当している。多くの人が一度は聞いたことのある声であると思う。
残念ながら2014年1月27日亡くなっている。
陣内理一|声優:桐本琢也
陣内理一の基本情報
陸上自衛隊の「ちょっと言えないところ」に所属している。本編では衛星通信用の機器を自衛隊から「拝借」していた。
声優の桐本琢也さん
声を担当したのは声優・俳優の桐本琢也さん。アニメーションの声優としては「薬屋のひとりごと」の羅漢など多数の作品で活躍しており、洋画の吹き替えなども多数担当している。
陣内太助|声優:小林隆
陣内太助の基本情報
街の家電屋の主人であり、「ラブマシーン」に対するリベンジマッチの際に大学に納入予定のスーパーコンピューターを「拝借」していた。
リベンジマッチが成功に終われば作戦のMVPであったと思われるが、自らの長男 翔太の間抜けな行動によりスパコンが熱暴走を起こしてしまい、惜しくもMVPを逃した。
声優の小林隆さん
声を担当したのは俳優の小林隆さんとなっている。
陣内翔太|声優:清水優
陣内翔太の基本情報
警察官。正義感が強いが、やや短気で血の気の多い性格。健二をハッキング犯と勘違いして捕まえようとするが、後に和解し、陣内家の一員として共に戦う。
物語中盤の、「ラブマシーン」に対するリベンジマッチでは、スパコンの冷却用においていた氷の塊を「栄おばあちゃんの遺体を冷やすため」に勝手に持ち出してしまい、スパコンの熱暴走を招いていしまった。
最終的に陣内家は「ラブマシーン」に勝利をおさめたので良かったのだが、所謂「戦犯」になりかけた男である。
ただ、物語の登場人物の中でただ一人、暑い夏の最中に一人でいる栄おばあちゃんを涼しくしてあげようと思った人物でもある。氷の移動に関しては一言あってしかるべきであったが、とても優しい男であることも確かである。
声優の清水優さん
声を担当したのは俳優の清水優さんとなっている。
その他の登場人物
- 佐久間敬|声優:横川貴大
- 篠原和雄|声優:佐々木睦
- 篠原雪子|声優:谷川清美
- 陣内万理子|声優:信澤三恵子
- 陣内理香|声優:玉川砂記子
- 陣内万作|声優:中村正
- 池沢聖美|声優:田村たがめ
- 三輪直美|声優:山像かおり
- 陣内頼彦|声優:田中要次
- 陣内邦彦|声優:中村橋弥
- 陣内克彦|声優:板倉光隆
- 陣内典子|声優:金沢映子
- 陣内由美|声優:仲里依紗
- 陣内奈々|声優:高久ちぐさ
- 陣内了平|声優:安達直人
- 陣内真緒|声優:諸星すみれ
- 陣内祐平|声優:太田力斗
- 陣内真悟|声優:今井裕貴
- 陣内加奈|声優:皆川陽菜乃
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